映画『国宝』で出会い、互いに深く共鳴した二人の表現者がいます。
ダンサーで俳優の田中泯さん(80)と、日本舞踊家の谷口裕和さん(48)です。
二人は2026年2月28日と3月1日、東京都品川区の喜多能楽堂で
舞台公演「田中泯+谷口裕和 独独座-コレモコテン」を開催します。
映画撮影をきっかけに始まった関係は、単なる共演者を超え、
今では田中さんが谷口さんから舞踊を学び続ける師弟関係へと発展しています。
伝統に触れたきっかけ――谷口裕和さんの言葉
映画『国宝』では、谷口さんが振り付けを担当。
田中さんは人間国宝の歌舞伎役者で女形の名手・小野川万菊を演じました。
田中さんはこれまで、
「自分が感じたことをそのまま踊りにする」
という感覚重視の表現を追求してきました。
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しかし谷口さんと出会い、伝統舞踊の世界に踏み出します。
そのきっかけは、撮影中に受けた指導でした。
谷口さんの言葉が、田中さんが師と仰ぐ舞踏家・土方巽の教えと重なったのです。
「踊りとは、自分が動くのではなく、何かに動かされるもの」
その考え方が、田中さんの中で強く響いたといいます。
「情景が見える踊り」――谷口裕和さんの哲学
一方、谷口さんはこう語ります。
「踊りで最も大切なのは情景です」
映画撮影で「鷺娘」を田中さんに振り付けた際、
背中の動きだけで情景が浮かび上がったと振り返ります。
現在の稽古では、歩くことに多くの時間を費やしているそうです。
田中さんは、
「できないことだらけ。でも、だから面白い」
と語ります。
できない自分と向き合うこと――
それこそが、今の稽古の大きなテーマになっています。
「独独座」に込めた想い――1人と1人が向き合う舞台
今回の公演は、2日間で計4回開催。
舞台は、谷口さん → 田中さん → 再び谷口さん、という構成です。
谷口さんは日本舞踊の名作を素踊りで披露。
田中さんは「少な少なに感情す」と題した即興舞踊を行います。
衣装には、袖を通すと踊りたくなるというデザイナー山本耀司氏の服を着用予定です。
「独独座」という名前に込められた意味
公演名「独独座」には、
-
一人であることを徹底的に尊重する
-
それでも二人で舞台をつくる
という想いが込められています。
田中さんは
「これは“1人と1人の会”。対立ではなく、近づいていく関係」
と語ります。
谷口さんにとって「独座」という言葉は、若い頃から大切にしてきたもの。
「独独」と重ねることで、
“心臓がドクドクするような今の気持ち”
を表現しているそうです。
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